「経理に資格はいらない」は本当?未経験が後悔しないための生存戦略

- 経理に興味があるけど、やっぱり資格がないと採用されない?
- 資格なしで経理になる方法ってないのかな?
- 現役経理で資格なしだけど、やっぱり取った方がいい?
ネットで経理について調べたとき、資格必要派と不要派の意見が入り混じっていて迷いますよね。
結論、経理に資格は必須じゃないけど、簿記は取った方がいいです。
私は、未経験で経理に転職し「簿記資格なし」「簿記資格あり」どちらの状況でも経理として働いた経験があります。
いま思うと、資格取得後の方が格段に経理業務の理解度が上がっていました。
そこでこの記事では、経理の人や経理になりたい人が簿記資格を取るメリットを解説していきます。
この記事を読めば
- 簿記資格の本当のメリット
- 他の人と差がつく簿記以外のおすすめスキル
がわかります。
経理をやる(やっている)なら簿記2級までは取っておきたいところです。
そのうえで自分が目指すキャリアが定まったら、上位資格を取るなどの戦略を立てていきましょう。
資格勉強には時間などの学習コストがかかります。
限られた時間や労力をムダにしないために、ぜひ最後まで読んで経理の資格について理解を深めてください。
【結論】経理に資格は必須ではないけど、持っていると転職・キャリアアップに有利!
経理をやるうえで資格は必須ではありませんが、あった方が良いです。
特に、簿記資格は必須と言ってもいいぐらいです。
その理由は次の通り。
経理の共通言語は簿記
年収が上がる
実務経験の裏付けと信頼性の向上(転職・昇進に有利)
経理の共通言語は簿記
経理の仕事では必ず簿記を使います。
海外で働くのに英語が必要なように、経理で働くには簿記が必要です。
借方(かりかた)や貸方(かしかた)といった基本的な簿記用語の意味がわからなければ、上司の指示が呪文のように聞こえてしまうでしょう。
経理では、普段の生活では知らなくても支障はないけど、知らないと仕事にならない言葉が飛び交います。

実務で機械的な処理ができたとしても、内容・本質を理解できていなければミスにも気がつけません。
機械的な処理ができるだけではAIと変わらない!
経理の共通言語「簿記」は人間にしかできない経理業務の土台となります。
年収が上がる
特に簿記2級を持つだけで、年収のベースラインが上がります。
実際、管理部門に特化した転職エージェント「MS-Japan」の調査によると、簿記2級保有者の平均年収は472万円とのことです。
出典「MS-Japan調べ(https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/12506.html)」
一方、一般事務の平均年収が350万円程度と言われています。
出典「Doda(https://doda.jp/guide/heikin/syokusyu/)」
つまり、同じ事務職でも「経理×簿記2級」という専門性を持つだけで、年収に約120万円の差が生まれる可能性があるということです。

「年収アップしたい」
「安定した生活がしたい」
そう思って経理を目指すならば、簿記2級は必須と言えそうです。
実務経験の裏付けと信頼性の向上(転職・昇進に有利)
経理の転職では、実務経験の有無が重視されます。
しかし「実務経験がある」と書類や面接で伝えても、客観的な証拠は示しにくいです。
そこで簿記資格を実務能力の品質保証として提示しましょう。
採用担当者が恐れるのは
「会計ソフトへの入力手順は知っているが、応用が利かない」
というパターンです。
資格があれば
「少なくともこの人は正しい簿記の理論を知っているんだな」
と判断できます。
また、昇進の場面でも簿記資格は役立ちます。
簿記資格の取得を昇進の要件にしている企業もあります。
日本国内の資格検定について発信しているメディア「日本の資格・検定」の記事
「2025年版!就職・転職に役立つ資格・検定ランキングTOP30」

によると、日商簿記検定が5年連続の1位となっていて、簿記資格の信頼性は抜群です。
「経理に資格はいらない」誤解3選
ここまで解説したように、資格を取ると転職やキャリアアップに有利です。
一方で、なぜ「資格はいらない」という意見もあるのでしょう。
実は、この言葉を前提を無視して鵜呑みにするのは少々危険です。
なぜなら、「いらない」と言われる理由の多くは
- 一昔前の常識だったり
- 一生、単純作業でいいならという条件付きの話
だったりするからです。
あなたのキャリアを守るために、よくある「3つの誤解」と「その真実」を正しく理解しておきましょう。
誤解①実務経験だけあればOK→資格があると仕事の景色が変わる
確かに経理の転職市場では実務経験がかなり重視されます。
Keiricafeでは、別の記事「経理に未経験で応募しても採用されないのはなぜ?原因と突破法を徹底解説!」でも実務経験の重要性を解説しています。
この傾向から
「実務経験さえあれば資格はいらない!」
という主張が生まれたのではないでしょうか。
しかしメリットの章でも言ったように、簿記の知識は経理実務をより正確で楽しいものに変化させます。
私は過去に未経験・保有簿記資格なしで経理に転職した経験があります。
入社7ヶ月ほど経過したときに、上司に勧められて簿記3級を取得しました。
それからは
- 自分がいま何の処理をしているのか
- 何のためにやっているのか
といったことが明確にわかるようになりました。
業務の目的がわかると必然的にゴールも見えるようになり、自主性(自分で仕事を捌けている感)が上がって仕事が楽しくなったのを覚えています。
実務経験をもっと濃いものにしていくために簿記資格の取得はかなりおすすめです。
誤解②AI・自動化で簿記資格はいらなくなる→最後の判断は人間
ここ最近のAIの発達は凄まじく、「経理はAIで自動化される」という話もよく耳にします。
確かに経理業務の一部はAIによって自動化されていきますが、簿記の知識が必要なくなるわけではありません。
レシートを読み取って仕訳候補を出すような「単純作業」はAIが得意です。
では、そのAIが出した答えが「合っているか」を誰がチェックするのでしょうか?
取引の背景(文脈)を正確に読み取って正しい判断をするには、現場を知る人間にしかできません。

AIが出した仕訳を鵜呑みにせず、「これは違う」と修正できる知識(=簿記×実務力)がある人が、AI時代にも必要とされるはずです。
誤解③外注すれば知識は不要→実は「丸投げ」が一番難しい
経理を外注することは一般的ですが、それは「知識がなくていい」という意味ではありません。
知識がないまま業務を丸投げするのは非常に危険です。
- 外注先がミスをしていたら、誰が気づくのか?
- 上がってきた試算表がおかしかったら、誰が指摘するのか?
正しい処理がされているかをチェックするためには専門家=経理が必要です。
外注するなら、むしろ簿記という経理の共通言語を事前に深く学んでおく必要があります。
資格なしから経理キャリアを築くための戦略とおすすめ資格
「実務経験なし・資格なし」
「実務経験あり・資格なし」
どちらの人も簿記2級までは目指す価値があります。
簿記1級などの難易度の高い資格となると万人におすすめはできませんが、簿記2級は信頼性・実用性・コスパが良い資格です。
具体的にどのような戦略を取ればいいか解説していきます。
まずは簿記3級から!基礎を固めて、簿記2級を目指そう
経理のキャリアを充実させるためのおすすめアクションは次のとおり。
1.簿記3級を取る
↓
2.簿記2級を取る
↓
3.キャリアの目標を定める
↓
4.転職活動 or 上位資格にチャレンジ
簿記3級を取る
最終的に簿記2級を取るなら、簿記2級の勉強からやった方が早いんじゃないの?
と思うかもしれませんが、簿記3級から勉強しましょう。
簿記3級から勉強した方が
- 簿記の基礎がしっかり作れて
- 結果的に効率が良い
という理由からです。
グラグラの地盤の上に、高層マンションは建ちません。
簿記も同じで、3級という頑丈な土台があって初めて、2級という「建物」を乗せることができます。

土台をおろそかにして無理やり2級を取ろうとしても、結局どこかで崩れてしまいます。
簿記3級はどうやって勉強したらいい?
という人は「簿記3級の勉強方法を完全ガイド!初心者でも独学で合格できる最短ルート」を読んでみてください。
今の私ならどう勉強するかを考えて、ギュッと1記事にまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
実務経験がある人も簿記3級から学べば、新しい発見があると思うよ!
簿記2級を取る
簿記3級を取ったら、あまり間隔を空けずに簿記2級の学習に取り組みましょう。
「鉄は熱いうちに打て」です。
私は簿記3級を取ってから約7年後に簿記2級を取りましたが、結局簿記3級の内容を復習しました。
時間を空けすぎるのは非効率だね…
以前は簿記1級の範囲だったものが2級の範囲に含まれるようになったこともあり、簿記2級試験の難易度が上がっています。
しかしその分、取得できれば価値が高いとも言えます。
難しいとはいえ、簿記3級で基礎がしっかりできていれば取れない資格ではありません。
簿記2級の勉強方法についても下記にまとめていますのでぜひ読んでみてください。
>>簿記2級の勉強方法を解説!独学でも無料講座で合格へ【工業簿記満点経験者が解説】
キャリアの目標を定める
簿記資格と並行して考えていきたいのが「自分はどうなりたいか」です。
経理のキャリアは幅広いため、ある程度のゴールを定めて動く方が成功しやすいです。
ゴールを定めずにやみくもに進んでも道に迷ってしまいます。

この経理キャリアパスの例もほんの一部で、さまざまな道につながっています。
また、公認会計士や税理士などの難易度の高いキャリアを目指す場合、それなりの覚悟が必要になります。
- 自分はどうなりたいか
- いくら稼げるようになりたいか
- 何に価値を感じるのか
などしっかり自分と向き合いながら考えましょう。
「キャリアの目標を定める」と簡単に書いてますが、ここはじっくり時間をかけたいところです。
転職活動スタート or 上位資格にチャレンジ
ゴールに向かうためには「正しい手段」を選び取ることが最重要です。
ここを間違えると、努力の方向がズレてしまい、時間だけが過ぎてしまいます。
- 転職の場合
→ 1人で求人を探して応募するのは、地図なしで山に登るようなものです。AIや転職エージェントを積極的に活用して、効率的に進めるのが現在の王道です。 - 上位資格を目指す場合
→難関資格への挑戦は長期戦です。長期戦になるほどモチベーションの維持は難しくなります。予備校を使うことも検討しましょう。
たとえば公認会計士試験だと受験者の多くが予備校を使います。
令和7年の合格者数1,636名のうち公認会計士試験予備校であるCPA会計学院の合格者数は1,092名で約67%を占めているとのことです。
他の大手予備校からも合格者が出ていることを考えると、多くの人が予備校を使って合格していることがわかります。
予備校は安くない出費ではあるものの、正直に予備校を使った方が時間・学習コストを考えると割に合う投資になるパターンもあるということです。
限られた時間と労力をムダにしないために、使えるものは遠慮なく使い倒しましょう。
とはいえ上位資格に挑戦する場合、お金的にも負担は大きい!「本当に取る必要があるのか?」はしっかり時間をかけて考えよう!
何よりもスタートは簿記3級です。
経理への適性をはかる意味でも有効な資格なのでぜひ最初に挑戦してみましょう。
【コラム】何者でもない私が簿記3級で変われた話
私は以前、学歴も目立ったスキルもない「何者でもない自分」にコンプレックスを抱えていました。
「自分には何ができるんだろう?」
そんな不安の中で出会ったのが、簿記3級でした。 ゼロから勉強して合格通知を手にしたとき、単なる資格以上のものを得たことに気づきました。
- 「自分もやればできる」という自信
→ 何も持っていなかった私にとって、一つのことを成し遂げた成功体験は大きく、大人になって初めて「学ぶことの楽しさ」を知りました。 - 世の中のお金の動きが見えるようになった
→経済ニュースの用語が理解できるようになったり、借金の金利の仕組みがわかったりと、お金に対して敏感になり、自分の身を守る知識がつきました。
簿記は、単に就職に有利なだけではありません。 「自信のない自分」を変え、社会を生き抜くための武器をくれる。私にとってはそんな存在です。
経理で簿記資格並みに評価されるスキル
経理になるなら「まずは簿記資格」ですが、それ以外にも評価されるスキルがあります。
たとえば
1.ITスキル
2.コミュニケーション能力(調整力)
3.ライティングスキル
です。
1.ITスキル
経理に限らず、これからの時代はITスキルは必須です。
特にパソコンは当たり前のように使えるようになりましょう。
資格として形にしたい場合は、ExcelのMOS試験がおすすめです。
経理ではExcelを使う業務が多いため、未経験から経理を目指すならば、「Excel使えます」アピールは好印象を与えられます。
2.コミュニケーション能力
ここで言うコミュニケーション能力とは、「言いにくいことを伝える調整力」のことです。
経理の仕事は、デスクに向かっているだけではありません。
- 期限を守らない社員に催促をする
- 不備のある領収書について問い合わせる
- 予算オーバーの部署に事情を聞く
こうした場面で、相手を不快にさせずに、かつ毅然とルールを守ってもらうための大人の対話力が求められます。
面白おかしく話す必要はありません。
「報告・連絡・相談」がスムーズにできれば、大人しいタイプでも全く問題ありません。
3.ライティングスキル
コミュニケーション能力の延長線上に、「ライティングスキル(書く力)」があります。
チャットツールを導入する企業も増えており、直接会わずに文字だけで業務を進める力も求められています。
文章でのやり取りは、表情や声のトーンが伝わらないためデリケートです。
・曖昧な表現を避け、数字や期限を正確に伝える
・ 冷たい印象を与えないように相手への敬意を文字に込める
といった意識が大事です。
私も5年以上テキストコミュニケーション中心で業務をおこなっていますが、テキスト独特の神経を使っています。
見ているのはパソコンの画面ですが、その先には必ず「感情を持った人間」がいることを忘れてはいけません。
どんなに良い武器(簿記資格)を持っていても、それを扱う身体能力(IT・コミュ力など)がなければ戦えません。
逆に言えば、簿記資格にこれらのスキルが組み合わされば、鬼に金棒です。

AIには代替できない「人間らしいスキル」を持つ経理パーソンこそが、これからの時代に必要とされていくでしょう。
簿記1級など上級資格を目指す際の注意点
ここまで「簿記2級までは取ろう」と強くお伝えしてきました。
中にはその先の簿記1級や税理士、公認会計士を目指そうと考えている方もいるかもしれません。
しかし、簿記2級とそれ以上の資格では、難易度も費やす時間も別次元です。
つまり、万人には気軽におすすめできません。
「なんとなく凄そうだから」
で始めると、時間と自信の両方を失うリスクがあります。
必ず明確な目的やキャリアの目標を定めてから挑戦しましょう。
【それでも上位資格を目指すなら…】①自分の目指したいキャリアから逆算する
まず、その資格が本当に「自分の目指すキャリアに必要な資格か?」を冷静に考えましょう。
大手予備校TACによると、簿記1級の合格には、800〜1,500時間の勉強が必要とのこと。
これは簿記2級の5倍以上の学習量です。
- 上場企業の経理・連結決算担当になりたい
- 将来はCFO(最高財務責任者)を目指したい
- 税理士・公認会計士へのステップにしたい
こうした明確な目標やゴールがあるなら、その1,000時間は必要な投資です。
しかし
- 中小企業の経理で長く安定して働きたい
こういう目標なら、簿記1級はオーバースペックになる可能性があります。
その1,000時間を、実務経験を積むことや、Excel・英語スキルの習得に使ったほうが、市場価値が高まるケースも多いです。
「目指すキャリアに必要な資格か?」を何度も自分に問いかけてください。
【それでも上位資格を目指すなら…】②取れない場合もあることを頭に入れておく
厳しい現実ですが、公認会計士などの上位資格は努力すれば必ず取得できるとは限りません。
たとえば、公認会計士試験のトータルの合格率は10%程度と言われています。
憧れるけど、かなり難しい試験だね…
挑戦すること自体は素晴らしいですが
「○○歳までに受からなければ撤退する」
「3回落ちたらすっぱり諦めて、実務に集中する」
といった「撤退ライン」をあらかじめ決めておくことを強くおすすめします。
引き際を決めることは、決して「逃げ」ではありません。
限られた人生の時間をより可能性のあることに投資するための、立派な戦略だからです。
受からない=能力が低いではない
もし上位資格に挑戦して、結果が出なかったとしても、絶対に自分を責めないでください。
「試験に受からないこと」と「経理としての能力が低いこと」はイコールではありません。

実際、簿記1級を持っていなくても、現場でバリバリ活躍している優秀な経理部長やCFOは世の中にたくさんいます。
資格はあくまで道具です。
「取れなかったから自分はダメだ」
と思い詰めず
「自分には別の武器(実務能力など)がある」
と切り替えるマインドセットを持つことが大事です。
難易度の高いことに挑戦する姿勢は誰にでもマネできるものではありません。
自分自身の挑戦を称えつつ、前を向きましょう。
まとめ:経理をやるなら資格はあった方がいい!【まずは簿記3級から始めよう】
経理の仕事に資格は必須ではありません。
しかし、「持たざる者」が苦労する世界であることも事実です。
将来の不安を消し、自信を持って働くために、以下のステップで行動するのがおすすめです。
- まずは「簿記3級」の勉強を始める
- 簿記2級まで取得する
- ExcelやITスキルも磨く
- 目標をバッチリ決めてから、転職や上位資格挑戦へ
私自身、簿記3級を取ったことで自信がつき、仕事の景色が変わりました。
資格は、あなたを評価してくれる他人へのアピールになるだけでなく、あなた自身を支えてくれる「お守り」にもなり得ます。
「簿記3級からやってみたい!」
そう思った方はぜひ下記の記事で勉強方法を知って、良いスタートを切ってください。

この記事があなたの参考になればとても嬉しいです。



